第300章

島宮奈々未が外へ出て丹羽光世を探したときには、丹羽光世はすでに天瀬姫奈のもとへ向かったあとだった。

奈々未は追いかけず、ロビーの外で待つことにする。

羽澤哲也が島宮雪乃の保釈手続きを済ませ、二人は奈々未の前を通りかかった。哲也は雪乃に目配せし、先に車へ乗れと合図する。

さっき痛い目を見たばかりの雪乃はおとなしく従い、車内で待機した。

羽澤哲也は車いすを滑らせて奈々未へ近づく。

「丹羽若奥様」

その呼び名を口にするたび、胸の奥がざらつく。

「羽澤殿」

奈々未は礼儀として軽く会釈し、挨拶だけ返した。

哲也は空を見上げ、ぽつりと言う。

「今夜は雨になりそうだな」

奈々未もつら...

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